会社を退職をして間もない時期は、起業に向けて忙しい人、一旦休憩を挟む人とそれぞれ時間の過ごし方があると思います。今回は退職から退職後にかけての住民税と雇用保険について説明します。
〇ポイント
対象:全員
時期:退職前後
〇メニュー
住民税の納付方法
- 退職前に一括で支払する
- 退職後に納付書で支払する
雇用保険給付の考え方
- 基本手当と再就職手当(起業前後)
- 教育訓練給付
住民税の納付方法
退職前に支払する
住民税は、前年度の課税所得に対して掛かる税金です。課税期間は1月から12月までを対象にしていますが、それに対して翌年6月から支払いをする仕組みになっています。会社員時代は毎月の給与から天引きで徴収される(これを特別徴収といいます)ことが一般的で、6月から翌年5月までが1年の支払サイクルです。
退職後、先行き不透明な場合は、最終給与で残りの5月までを纏めて給与天引きすることができます(これを一括徴収と言います)。退職が1月から3月の期間では、一括徴収が基本です。一括で支払っても、税額が安くなる訳ではありませんが、退職後に支払う手間は省けます。毎月の徴収額×残りの月数を考え、会社の総務部に相談してみましょう。
退職後に支払する
最終給与で一括徴収をしないときは、後日自宅に残額に対する納付書が届きます(これを普通納付と言います)。給与では毎月天引きされていましたが、納付書払は最大で年4回の支払です。そのため1回あたりの納付額が高額に感じられます。
届いた納付書の支払期日に沿って、取り扱い銀行、郵便局、市役所ならびにコンビニなどで現金で支払ます。口座振替やクレジットカード払いができるかは、市町村ごとに異なります。お住いの市町村のHPまたは課税課に聞いてみましょう。
雇用保険給付の考え方
基本手当と再就職手当
会社を辞めると基本手当(失業給付)が貰えると思い込んでいる人が多いでしょう。65歳までの年齢で、退職時点で1年以上(11日以上の勤務が12カ月以上)の継続した雇用保険加入期間があると、基本手当の受給権が発生します。
ただし退職前後で自営業を既に開始しているときは、給付を受けることはできません。つまり受給権があっても失業状態には該当していないため、申請ができないことになります。
自営を始めているにも関わらずハローワークの窓口で求職の申し出を行い、基本手当を貰うことは不正受給で、いわゆる3倍返しの対象となります。
そうなのですが自営の準備期間として、退職後しばらくはパートや派遣など負担のかからない雇用契約を探す人も多いでしょう。すぐに自営を開始しない場合は、当然住まいを管轄するハローワークの窓口に離職票を持参し、求職の申し出をすることができます。自己都合退職の際は、約3か月の給付制限期間があります。準備期間として新たな雇用契約を探すときでも、すぐに基本手当は貰えません。
また給付制限期間やその後の失業給付の受給中に、再就職につならずに自営を始めるケースもあります。状況によっては再就職手当の支給対象となる場合もあります。つまり途中で再就職が決まったケースと同様に、開業をすることで合法的に再就職手当を貰えるケースもあるのです。基本手当の受給中に自営を開始する際は、次の認定日に窓口で相談してみましょう。
基本手当について | 厚生労働省
教育訓練給付
教育訓練給付金とは雇用保険の給付一つで、指定された教育訓練受講を受けて受講終了した場合に限り、支払った費用の一部が支給されるものです。退職後に申請できる人は以下のようになっています。
- 教育訓練給付の受講開始日現在で、被保険者期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、1年以上)あること
- 被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であること
- もし以前給付を受けている場合は、前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していることなど
現在、一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付の二種類があり、支給割合は、受講料の20%から50%です。自営業を開始して基本手当を受けることができない場合でも、教育訓練給付金の申請は可能です。自営になるために簿記を勉強するなど今後に役立つ講座も多いものです。積極的に活用しましょう。
教育訓練給付制度 教育訓練給付制度 検索システム | ハローワークインターネットサービス
まとめ
今回は退職前後での住民税と雇用保険の給付についてご説明しました。雇用保険の給付はメリットが大きいものですが、不正受給による罰則もあります。留意しつつ、活用できる部分は考えていきましょう。