
会社設立と個人事業主の違いとは?知っておきたい起業の知識
ビジネスを新たに始める際に「会社を設立した方が良いのか、個人事業主で始めた方が良いのか?」と迷う起業家さんは多いでしょう。同時に起業するための手続き方法を知りたいという方も多いでしょう。
既に開業届を出し起業されている経営者の方も、多忙で勉強する時間がないまま経営を続けていて、実は税金面で損をしている方がいらっしゃいます。「経営数年目にして実は手続きの書類に不備があった」という方もおり、実に勿体ないケースです。
今回はまず個人事業主と会社設立の違い・個人事業主になる方法・起業で事前に知っておきたい知識を確認していきましょう。会社設立のメリットを理解しておけば、今後の経営にも役立ちます。
この記事で起業の基本を理解して、よりよい経営ができるお手伝いになれば幸いです。
個人事業主と会社設立の違い
起業するには個人事業主と会社設立という二つの方法があります。それぞれの違いについて、ついてまずは以下の表をご覧ください。
個人事業主 | 会社設立 | |
---|---|---|
設立費用 | ほぼ無し | 合同会社;約4万円~、株式会社;約13万円~ ※1 |
手続 | 税務署に開業届を提出 青色申告で節税をしたいなら、青色申告承認申請書も提出 | 定款を作成、申請書類一式を準備し、法務局で登記をする 株式会社は公証役場で定款の認証を受ける |
確定申告 | 年に一度の確定申告 | 決算書等会計書類・帳簿類一式等の作成 税や社会保険の専門家のサポートが必要 常勤の従業員10名以上の時は就業規則を作る 社長1名でも健康保険に原則加入。健康・雇用・厚生年金は半額負担。労災は全額事業主負担 強制適用事業所(※2)の場合、従業員全員が上記の社会保険に強制加入 |
支払う税金 | 個人事業税・所得税・住民税・消費税 | 法人税・法人住民税・法人事業税・地方法人特別税・消費税 |
経費 | 法人に比べて、認められる経費が少ない | 認められる経費が多い。経営者や家族への給与、社会保険料、生命保険料、社宅代、出張手当、通勤費など |
赤字繰越 | 3年(青色申告の場合) | 9年(青色申告の場合) |
メリット | 手続きがシンプルで、廃業も簡単 一定の業種で常勤の従業員が5名未満の場合は、社会保険へ加入しなくても良い | 対顧客・銀行等で信用度が高い 事業を行える範囲が広い 費用計上の範囲が広いため節税効果は高い 確定申告で控除できる費用が多い 人材が集まりやすい 事業年度開始月を設定できる |
デメリット | 法人より節税効果が低い 経費に計上できる範囲が狭い 社会的信用度が低い 法人と取引が困難な場合がある | 手続きが煩雑・費用がかかる 法人口座の新規開設が少し難しい 赤字でも法人住民税(均等割部分)の支払いが必要 |
資金調達 | 法人よりも調達方法が限られる | 融資を受ける方法が多く、確率も高くなる |
※1 電子定款作成、特定創業支援事業による支援を受け登録免許税半額の場合
※2 強制適用事業所とは、社会保険に加入が義務付けられている事業所を指します。
詳しくはこちらをご覧ください。https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/documents/syaho_leaflet.pdf
個人事業主の方が、圧倒的に手間が少なく費用も掛からないことがお分かりいただけるでしょう。一方で法人化すると社会的に信用を得られる、節税効果が高いといったメリットもあります。
一人で経営・経営予定の方は、まず個人事業主として開業して軌道に乗ってから法人化する方法が合理的です。
会社を設立しないと許認可がおりず、事業が行えない業種も存在するので、注意しましょう。
次は個人事業主になるための手続き方法と、確定申告についてご紹介します。
個人事業主になるには~手続き方法と確定申告~
「まず個人事業主になってみよう」と考えている方は、個人事業主になるための手続き方法と確定申告について確認しておきましょう。
手続き方法は最寄りの税務署に「個人事業の開業届出・廃業等届出書」を提出するだけです。
同時に「青色申告承認申請書」を提出する事をおすすめします。青色申告が承認されても白色申告(複式帳簿無しの確定申告)は可能です。
あと必要な事は年末の確定申告です。青色申告は帳簿付けが煩雑ですが、会計ソフト「freee」を使用すれば経理作業の時間が短縮できます。無料で一か月のお試し期間もあります。
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会社を設立したい人が、設立前に確認しておく事
まだ会社を設立する検討をしている方には
①設立前に心構えをしておく
②事業計画書を作っておく
事をおすすめします。
会社の運営は何かと制約が多いので、安易な気持ちで法人化すると後悔する結果となってしまいます。また事業計画を立てておいた方がその後の会社運営がスムーズになり、成功する可能性が高くなります。
①設立前の心構えは以下の通りです。
1)本当に自分がやりたい事業で、それが社会や人の為に必要とされることなのか
2)取締役や従業員の意見を柔軟に取り入れられるか
3)事業規模を3年後、5年後、どの様に(大きく、維持して)していくか、
4)資金が必要な人は、どの様に用意するのか/用意できているか
続いては②事業計画書の作成についてです。事業計画書は「継続的に事業を発展させるための計画」をまとめた書類で、事業の将来性・収益性・実行が可能かどうかを判断します。
事業計画書では以下の費用の計上を盛り込む必要があります。
<毎月かかる固定費(ランニングコスト)>
事務所や店舗の賃貸料・保証金・光熱費
仕入金額
従業員の給与(社会保険料・交通費などを含む)
広告を出す場合は広告代
接待交際費の概算
PC・事務用品などの雑費
設備投資や初期費用も念頭に置いておきましょう。
また事業の見通しでは想定する顧客、市場規模や業界の知識・同業他社の中での自社の位置づけやメリット、具体的な販路について想定しておきましょう。
「計画書を上手く作れない」という方は、コンサルタントなど専門家に相談してみましょう。
まとめ
今回は個人事業主と会社設立(法人化)の違い、個人事業主になる方法、会社設立のための事前準備について確認してきましたがいかがでしょうか。
「心構えを確認し事業計画書を作成していよいよ会社設立」となった所で、気になるのは会社とは何か、手続きはどういった流れになるのかという点です。
次回は会社を設立する方のために、会社の種類や手続きの準備を紹介していきます。
これから会社を設立する予定の起業家、個人事業主で法人化を検討している方はぜひ参考にして下さい。